本格の次は変格

『死の黙劇』を読み終え、『変格ミステリ傑作選【戦前篇】』を手に取った。ガチガチの本格推理から変格へのジャンプとなる。読み進めるかはともかく……。

変格ミステリとは何か? 縁がないのでよくわからない。序文を読むと、どうやら正統派の探偵小説=「本格探偵小説」の立場を確立したい人がいて、本格じゃないものを括る言葉として「変格」が生み出されたらしい。というのが1920年代後半。

まあそういうわけで、「本格じゃないのが変格」ぐらいしかわからないし、のっけの夏目漱石「趣味の遺伝」からとっつきづらそうでまだ全然読んでないんだけど、変格探偵小説の立ち位置と歴史的意義について序文の以下の一文がわかりやすかったのでメモしておく。

「変格」は、正系を主張する「本格」に対して、単に傍流、異端を示し得たにとどまらず、結果的に、ミステリ・ジャンルの間口を拡げ、表現者たちの実験的精神を刺激し、滋養する、肥沃な土壌を同時代文化に提供したのである。