M1 MacBook Airは最強のChromebookだった(個人の感想です)

サブマシンのChromebookの調子が悪くなり、色々検討しているうちにM1 MacBook Air (2020)を買ってしまい満足しているという話。

買ったのは一番安い256GB SSD、8GBメモリのモデル。

私とChromebook

私のChromebook歴は比較的長く、機種を乗り換えつつ5〜6年ぐらい使っていた。主な用途は以下。

全然大したことをしていない。画像編集すらめったに行わない。しかし、だからこそChromebookで十分だった。パッとノートを開いたらすぐに使えて、動作が高速で、静かで*1、バッテリーもよく持ち、そして何より安価なChromebookはサブマシンとして生活に欠かせない存在だった(ちなみにメインマシンはWindowsで、Mac歴は0年)。

そんなわけで愛用していたChromebookだが、不満もあるにはあり、現在使用中の機種が壊れて修理に出したのを機に付き合いを考え直すことになった。

Chromebookから離れることにした理由

1. それなりの性能を求めるとそれなりの価格になる

当然といえば当然ではある。

Chromebookは「安いわりにはいいマシン」だ。2〜3万円のエントリークラスでも、ブラウジングや軽作業だったらサクサクこなしてくれる。しかし、重めの作業でももたつかないパワーや、綺麗なディスプレイ、打ちやすいキーボードなどを求めていくと、予算が4〜6万円ぐらいは欲しくなる。そして、壊れたChromebookもそのぐらいの価格帯のミドルクラスだった。

実のところ、今回はぎりぎり保証期間内だったので無償修理してもらえたのだが、もしまた壊れたり、壊れはしなくても将来買い替えることになった際、何万円も出してまたChromebookを買うのか……? と考えると、ちょっと悩んでしまった。

2. テキストエディタの選択肢が少ない

これは個人的には死活問題だった。快適な執筆のために、ハード面ではキーボードの質、ソフト面ではテキストエディタの選択肢が私にとって重要だ。

キーボードは置いておくとして、ChromebookではChromeアプリ&Androidアプリが利用できる。一見、選択肢が多そうに見えるが、細かい条件をつけていくとそれを満たしてくれるテキストエディタはなかなかない。私の求める条件は以下だった。

  • 独自形式のファイルではなくtxt形式を扱える
  • フォント・行間・配色をカスタマイズできる
  • Dropboxのファイルを直接編集できる*2
  • 必須ではないが、文字数カウント機能があると嬉しい
  • 見た目がダサくない(結構大事)

そこまで厳しい条件ではないと思うのだが(Dropboxは厳しいかも)、これらの条件を満たすエディタが見つからなかった。テキストエディタとなるとどうしてもプログラミング向けのものが多く、日本語の長文執筆に向いたエディタは少ない。あと、スマホタブレットでの使用を前提としているAndroidアプリはChromebookだと使いづらかったりする。

一応、JotterPadというアプリでまあまあ満足していたのだが、Dropbox対応プランだと1年で約3000円かかったり、「アップデートで使いづらくなった」というレビューを見て旧バージョンのまま使っていたりと不満や不便もあった。使用料はまあしょうがないとしても、Chromebookでは「アプリの旧バージョンをダウンロードする」ということが基本的にはできないので、もしアプリをインストールし直す事態になったらどんなに使いづらかったとしても新バージョンを使うしかなくなる。せっかくJotterPadで落ち着いていたのに、テキストエディタ難民になるのは勘弁だった。

Chromeが動くなら、それはChromebookだ」

で、今後どうしようかなーと考えていたところ、好評極まりないM1 MacBook Airの存在を思い出してしまったわけである。

ChromebookMacBook Air。PCとしてのジャンルも値段も全然違う。でも、M1 MacBook Airが絶賛されている点:

  • アプリの動作が爆速
  • スリープ復帰が爆速
  • バッテリーが超長持ちする

って、Chromebookの特徴とかぶってない? と思った。そしてもちろん、MacではChromeが動く。Chromebookの本体はGoogleアカウントと紐付けされたChromeブラウザなのだから、Chromeさえ動くならそれはChromebookたりうる。

正直「ほとんどブラウジング専用マシンなんだからMacbook Airはもったいなさすぎるだろ」と我ながら思ったが、ここで悪魔が私の心に「普段遣いだからこそ最高のマシンに、見ている時間が長いディスプレイだからこそRetinaにするべき」と囁いた。

macOSは触ったことがないが、ChromeDropboxテキストエディタさえ使えればいいのでまあ大丈夫だろう。M1 Macにはアプリの対応問題があるらしいが、もともとMacユーザーじゃないから愛用アプリもないし関係ない。またMacのメリットとしては、言わずもがなオシャレだし、フォントも綺麗だというし、そういえばiPadで購入していた物書堂の辞書も使えるらしい。*3

というわけで、(実際はもっと悩んだが)M1 MacBook Airを買ってしまった。なお、今後もメインマシンがWindowsであることは揺るがないが、肥大化したWindowsの複雑さには辟易気味だったのでWindowsノートという選択肢は初めからなかった。ゲーミングノート持ってるし。

MacBook Air、個人的には最強のChromebook

さて、M1 MacBook Airの評価は、各所のレビューに今さら付け足すことはない。端的に言うと最高のマシンだった。Apple製品のレビューに漂う雰囲気には抵抗感を覚える私だが、しかしM1 MacBook Airについてはレビューは何ら大げさではなかった。

本当にスリープからの復帰が爆速だし(ノートを開いている途中ですでに画面がついてもちろんWiFiにも接続されている)、電源ボタンによる指紋認証も一瞬で済むし、アプリはギュンギュン動くし、ファンレスだから無音だし、バッテリーはすっっっごく持つ。私の使い方だと、どんなに控えめに見積もっても12時間はバッテリー切れを心配する必要がない。あと、膝の上で使っていても全然気にならないぐらい本体が熱を持たない。

ハードウェアの方も、お高いPCなだけあって(といってもこの性能で11万なら割安と言っていい)、シンプルで美しく、隅々まで気を配ってデザインされていると感じる。さすがAppleというところだろうか。キーボードは長らく評判が悪かったらしいが*4、M1モデルはキー配列もキーピッチもストローク感も十分打ちやすい(ストローク感はやや控えめ)。

なんだか、やっぱり各所のレビューをなぞっているだけになっちゃったけれども、本当にこの通りの素晴らしいノートPCなのだからしょうがない。もちろん、ChromeDropboxテキストエディタも問題なく動く。エディタはmiにした。これで、私の用途では、M1 MacBook Airが完全なChromebookの代替品となった。なんとも贅沢な代替品だが……。

私の感想は「MacBook Air、最強のChromebookじゃん」である。

ただし、人による(当然)

言うまでもなく、これは「私にとっては」である。最初に書いた通り、もともと私がChromebookに求めている機能は多くなかった。例えば、私はChromebookAndroidアプリはほとんど利用していなかった。Androidアプリや、その他Chromebookならではの機能が必要なら、MacBook Airは代替品になれない。

また、macOSChrome OSともWindowsとも勝手が違うので、適宜カスタマイズしたり慣れたりしないといけない。私はわりとガジェット好きなので抵抗感は少なく、むしろ触ってみたら「覚悟していたよりWindowsとの違いは大きくないし、扱いやすいな」と感じたぐらいだったが*5、手間や学習コストをかけたくない人にはシンプルなChromebookChrome OS)の方がおすすめできる。

でもあらためて思う、Chromebookも悪くない

M1 MacBook Air最高! という内容になってしまったが、MacBook Airを使っていてあらためて感じるのは、Chromebookも優れたマシンだということだ。

実は、MacBook Airを起動して触り始めた時の最初の感想は「まるでChromebookみたいに速いな」だった。スリープから一瞬で復帰する、アプリがサクサク動く……。このあたりはChromebookにそっくりだった。動作音がないところ、バッテリーがよく持つのでスリープ中に充電が切れる心配をしなくていいところなども、両者に共通する使用感だ。(※とはいえ一応書いておくと、スリープ復帰を含めた動作速度はさすがにMacbook Airが勝っていて、Chromebookが「速め~高速」ならMacbook Airは「爆速」ぐらいの差がある)

ChromebookMacBook Airと戦うようなPCではない。OSという中身も、恐らくは設計思想も対象層もまるで違う。MacBook AirにできてChromebookにできないことはたくさんある。だが、ごく限られた用途でなら、ChromebookはM1 MacBook Airにも引けを取らない……は言い過ぎだが、「Chromebookでも十分」なのだ。それだけでなく、タッチパネルやスタイラスペン対応、本体を180°〜360°回転させてテントモードやタブレットモードで利用するスタイルは、今のところMacBook Airにはないものだ。*6

「OS=Chromeブラウザ」で、できることや設定をいじれる範囲が限られているからこそ扱いやすいというメリットも無視できない。

そして何より、Macbook Airは素晴らしいPCとはいえやっぱり高いし、Chromebookはめちゃくちゃ安い。エントリークラスで2〜3万、ちょっとがんばって4〜6万。これだけ安くてそこそこキビキビ働いてくれるChromebookは、やっぱりいいノートだ。

……ただ、8万や9万、あるいはそれ以上出せるなら(なんとChromebookには10万超えの機種もある)、悪いことは言わないからChromebookにこだわらない方がいいですよとは伝えたい。Apple製品ならリセールバリューも高いですしね……。

*1:最近のだいたいのChromebookファンレスなので

*2:ChromebookDropboxとの接続方法がやや特殊になるため、エディタそのものがDropboxへのアクセスに対応している方が確実

*3:「そういえば……」とここではサラッと触れてしまったが、物書堂の辞書がPC上で高速動作するのは超絶便利で、何らかの執筆作業を日常的に行う人にはこの一点をもってMacbookの導入をおすすめしたいぐらいである

*4:悪名高いバタフライキーボード

*5:というかWindowsの設定アプリだのコントロールパネルだのの入り組みっぷりがひどすぎると実感した

*6:AppleiPadを強化している方向性を見ると、今後もないのかもしれない