『言語哲学』をちまちま読んでいた

数ヶ月に渡ってちまちま読み進めていたW・G・ライカン『言語哲学 入門から中級まで』をいよいよ読み終えようとしている。

言語哲学とは何か? と言われると、正直終盤まで読んだ今でもよくわからないので説明できない。大辞林によると「言語の本質や起源、言語と思考との関係、言語学の基礎理論などを考察する学問。」だそうです。

とりあえず、ものすごく大ざっぱに説明すると

現在のフランス国王は、はげである。

という文章があるとして、(もちろん現在のフランスに国王はいないので)この文章は真偽で言うと「偽である」のか、それとも「真でも偽でもない」のか、というようなことを考える*1学問らしい。

で、13章「さまざまな含意関係」がとりわけ興味を引いたという自分用メモ。含意関係ってなんやねんって感じだけど要は

A「Cくんは優れた哲学者なんですか?」
B「彼は卓球が上手いよ」

という会話がなされた時、Bの返答が字義通りに意味しているのは「Cは卓球が上手だ」ということだが、BがAに伝えようとしているのは明らかにそのことではない、つまりBは「Cは優れた哲学者ではない」と伝えようとしているのだ――なおかつ、AもBの意図を瞬時に理解するだろう。というような現象について考察していく話。

こういうのって、素人的には人間の推論能力やら共感能力やらなんやらが持ち出されてきそうなイメージなので、言語という面から考えていくことが新鮮で面白く感じられた。この方向についての本をもっと読んでみたい。素人にもある程度わかる読み物がないものだろうか……。

言語哲学』で触れられている箇所はこの本が出典なんだけど本格的すぎる気がする。しかし最近(2020年)復刊されたようだし縁を感じると言えばそう言えなくも……。

含意関係とどこまで関係しているのかはともかく、グライスの理論を扱った最近の本だとこれが良書のようだ。

*1:正確に言うと、こういった問題に対して満足のいく答えを与えられるような理論の構築を目指す