アンソロジーつまみ食いしすぎて忘れる問題

 古めの西洋怪奇小説が好きで、ちょこちょこアンソロジーを集めてはちびちび拾い読みしています。怪談というのは基本短いものなので、怪奇小説はアンソロジーが豊富なのですね。
 しかし、漫然と読んでいるからか、歳のせいか、それとも怪談に属する作品群の共通性ゆえか、話の内容を思い出せないことがときどきあります。正確に表現すると、「そういえば○○が○○する話をどこかで読んだな……」とあらすじは思い浮かぶのですが、誰のなんという作品で、どの本で読んだのか思い出せないのです(と文章にしてみると「歳のせい」が有力そうですね……)。
 例えば、先日は「霊媒の女の人が降霊会で死ぬ話」や「宿の二人姉妹が呪いをかけられて色情狂になってしまう話」のタイトルや作者が思い出せませんでした。ありがたいことに世の中にはマメな人がいるもので、Twitterで記憶にあるキーワードを検索したら感想ツイートがヒットしてなんとか事なきを得たのですが……。

 毎度このような他人&ネット頼りもいかん、なんとかせねば、と思い、このたび「読んだ短編メモ」をアナログで作ってみることにしました。
 A5サイズのツバメノートを使い(A5である理由は取り回しやすさが好きなのと、狭い机でも書きやすいからです)、ノートが24行なので6行×4になるよう区切り線を引いて、区切った1項目につき1短編の情報を大まかにまとめる。1ページにつき4作ということですね。
 情報は、作品タイトル・作者・作者の国籍・作品の発表年*1・作品の内容に関するキーワード。あとは余裕があれば収録書籍・訳者・読了日
 あらすじや感想は基本的に書かないことにしました。というのも私は見事な三日坊主タイプなので、書かなければいけない量が増えれば増えるほど挫折する可能性も上がるからです。目指しているものが完全なデータベースであれば感想等も書くべきですが、今回はあくまで思い出すきっかけを作ることが目的なので……。
 実際に書いてみた内容は以下の通り(一応ネタバレ防止のため、タイトル等は伏せておきます)。

「(タイトル)」 (作者)
 怨霊、道連れ、強欲な姉、家政婦も道連れ

 (発表年はメモを書いている時点ではわからなかったので記入していませんでした)
 これだと何のこっちゃらですよね。しかし多分、未来の私が「ああ、強欲な姉が出てきて、最後には家政婦も死んでしまうあの話、なんだっけ!」と頭を抱えそうになったら、このメモを見て該当作に行き着いてくれることでしょう(実のところ、この短編は忘れることなどなさそうな強烈な一編なのですが……)。

 さて、検索性や修正しやすさという点では、どう考えても電子データでメモを作成した方が絶対によさそうです。実際、最初はデジタルも検討しました。しかし、いざ具体的に考えてみると「ベタ打ちのテキストファイルにするのか? Markdown等の記法で見やすいデータを作るのか?」「ファイルの管理法はどうする?」等々、決めないとならない面倒な点が色々出てきました。それに、手で書いた方が記憶にも定着しそうですし、書き物は嫌いではありませんからアナログのノートにしてみました。せっかく手元にある万年筆も使いたかったですし。
 まだ始めたばかりなので、ちゃんと続くかは未知数ですが、ぼちぼち気長にメモしていきたいなと思っています。

 以下は、上で挙げた3つの「○○が○○する話」のネタばらしです。ネタバレ注意です。

  • 霊媒の女の人が降霊会で死ぬ話」→アガサ・クリスティ「最後の降霊会」
  • 「宿の二人姉妹が呪いをかけられて色情狂になってしまう話」→岡本綺堂「怪獣」
  • 「強欲な姉が出てきて、最後には家政婦も死んでしまう話」→W・W・ジェイコブズ「三人姉妹」

*1:アンソロジーはだいたい巻末の「解説」などに収録作の初出情報が載せてあるためわざわざ検索する必要がない